4 気質
古代ギリシャ以来、人間には四つの気質(temperament)があるとされてきました。
つまり、人体には血液・粘液・黄胆汁・黒胆汁という四つの体液(humor)があり、どれが多いかで気質が決まる、と古代の医学では考えられていたのです。黒胆汁【ルビ・メランコリー】は憂鬱質といわれるようになり、黄胆汁がたんに胆汁質といわれるようになりました。血液が多いのは多血質です。
気質の特徴
壁にぶつかると引き返すのが憂鬱質、壁を蹴飛ばして直進するのが胆汁質、壁の前で立ち尽くすのが粘液質、悩まずに迂回していくのが多血質です。
赤い火のような気質が胆汁質です。意志が強く、決断が早く、目的がはっきりしています。自己流の正義感で怒りやすく、危険を冒すのを好みます。背は低くめで、肩幅が広く、首は短くて、目鼻立ちがはっきりしています。どしどしと、地面にめりこむような歩き方をします。ワンマンタイプで、人の意見を容れません。しかし、時間に正確ですし、食べ物に好き嫌いはありません。
黄色のような、風のような気質が多血質です。気が変わりやすく、興味がつぎつぎに移りゆきます。跳びはねるような歩き方をします。楽観的です。スタイルがよくて、表情は豊か、身のこなしも軽やかで、人気があります。しかし、考えは浅はかで、だらしなく、優柔不断です。
緑色のような、ゆったりした水のような気質が粘液質です。太りぎみで、無表情、だらだら歩きます。一人でいるのが好きです。整頓が好きで、人から言われたことを正確に行ないます。友だちができにくいのですが、できた友だちには忠実です。のんびりとしていて、激することがありません。几帳面で、持続力があります。食べすぎ・寝すぎ・厚着の傾向があります。
藍色・紫色のような感じ、土のような気質が憂鬱質です。痩せていて、猫背です。うつむきかげんに、足を引きずるように歩きます。寝付きが悪く、朝は不機嫌です。悲観的で、敏感で、自己中心的です。自分を閉ざしているのですが、好きな人にはすなおです。不幸な人を見ると安心して、同情します。
気質の対処法
胆汁質の子どもは、人から関心を示してもらわないと不満です。胆汁質の子には、その子の能力をやや越えた課題を与えるのが有効です。そこで頑張ってもらって、胆汁質を放出させるのです。苦労の多い人生が胆汁質には合っています。胆汁質の子どもは、自分が尊敬できる権威者がいると、自制できます。
多血質の子どもには、静かな生活リズムが必要です。一つの遊びに変化をつけながら、その遊びを続けるようにさせます。
粘液質の子どもには、早朝の手伝いをさせるのが有効です。その子自身には無関心なふうにしているのがよいのですが、その子がものごとに興味を持つようにさせる工夫が必要です。たとえば、いっしょに散歩しているとき、「ああ、きれいな花だなあ」と大人が気づくようにします(「見てごらん、きれいな花が咲いているよ」と注意を促す必要はありません)。いっしょに遊ぶとき、すこしテンポを早めていきます。
憂鬱質の子は、心身の暖かさを必要としています。大人が、みずからが苦悩にどう取り組んだか、その子に語ることができます。お話も、悲話を選びます。娯楽を軽蔑しますから、遊園地などに連れていくと、気分を害します。
同気質で対処するという方法もあります。胆汁質の子どもと競争して、大人が胆汁質的にがんばって、勝つようにします。多血質の子どもと一緒にいて、大人がその子以上に多血質的に振る舞ってみます。粘液質の子どもに対して、こちらがその子以上にゆっくりとしてみます。いずれも、からかうようにしてはいけません。
胆汁質の子どもには、穀物・生野菜のほか、甘いものを与えるとよいはずです。多血質の子どもには、砂糖や肉を控えめにします。東洋医学では問題視されますが、乳製品がお薦めです。粘液質の子どもには、雑穀・葉菜を与え、おかずは塩味にします。卵は控えめにします。粘液質は食べつづける傾向があるので、小食にするとよいです。憂鬱質の子どもには、蜂蜜や、花のハーブティー、果物、サラダ、そして甘いお菓子を与えるようにします。考え込む癖があるのですから、思考を促す根菜は控えめにします。キャベツも控えめです。
大人の気質の影響
胆汁質の大人は子どもを驚かせるような言動をしてしまうので、子どもは不安を感じ、虐げられていると感じます。親・教師が胆汁質すぎる場合、子どもは血液循環に障害をきたすことがあるそうです。リューマチになったり、消化器に症状が現われることもあるそうです。
多血質の大人は子どもから深い印象を受けず、子どもは生命の喜びを抑えられます。大人が多血質すぎる場合、子どもは活力がなくなることがあります。方向が定まらず、意志・忍耐力の弱い人間になる可能性があるといいます。
粘液質の大人は、子どもに無関心です。大人が粘液質すぎる場合、子どもは精神的な呼吸困難に陥り、神経質になりがちです。愚鈍になることもあるといわれます。
憂鬱質の大人は自分自身に関わっており、子どもとの関係を築こうとしないので、子どもの心が冷えます。大人が憂鬱質すぎる場合、子どもは感情が抑圧され、呼吸器や心臓を病むことがあるそうです。
古代ギリシャ以来、人間には四つの気質(temperament)があるとされてきました。
つまり、人体には血液・粘液・黄胆汁・黒胆汁という四つの体液(humor)があり、どれが多いかで気質が決まる、と古代の医学では考えられていたのです。黒胆汁【ルビ・メランコリー】は憂鬱質といわれるようになり、黄胆汁がたんに胆汁質といわれるようになりました。血液が多いのは多血質です。
気質の特徴
壁にぶつかると引き返すのが憂鬱質、壁を蹴飛ばして直進するのが胆汁質、壁の前で立ち尽くすのが粘液質、悩まずに迂回していくのが多血質です。
赤い火のような気質が胆汁質です。意志が強く、決断が早く、目的がはっきりしています。自己流の正義感で怒りやすく、危険を冒すのを好みます。背は低くめで、肩幅が広く、首は短くて、目鼻立ちがはっきりしています。どしどしと、地面にめりこむような歩き方をします。ワンマンタイプで、人の意見を容れません。しかし、時間に正確ですし、食べ物に好き嫌いはありません。
黄色のような、風のような気質が多血質です。気が変わりやすく、興味がつぎつぎに移りゆきます。跳びはねるような歩き方をします。楽観的です。スタイルがよくて、表情は豊か、身のこなしも軽やかで、人気があります。しかし、考えは浅はかで、だらしなく、優柔不断です。
緑色のような、ゆったりした水のような気質が粘液質です。太りぎみで、無表情、だらだら歩きます。一人でいるのが好きです。整頓が好きで、人から言われたことを正確に行ないます。友だちができにくいのですが、できた友だちには忠実です。のんびりとしていて、激することがありません。几帳面で、持続力があります。食べすぎ・寝すぎ・厚着の傾向があります。
藍色・紫色のような感じ、土のような気質が憂鬱質です。痩せていて、猫背です。うつむきかげんに、足を引きずるように歩きます。寝付きが悪く、朝は不機嫌です。悲観的で、敏感で、自己中心的です。自分を閉ざしているのですが、好きな人にはすなおです。不幸な人を見ると安心して、同情します。
気質の対処法
胆汁質の子どもは、人から関心を示してもらわないと不満です。胆汁質の子には、その子の能力をやや越えた課題を与えるのが有効です。そこで頑張ってもらって、胆汁質を放出させるのです。苦労の多い人生が胆汁質には合っています。胆汁質の子どもは、自分が尊敬できる権威者がいると、自制できます。
多血質の子どもには、静かな生活リズムが必要です。一つの遊びに変化をつけながら、その遊びを続けるようにさせます。
粘液質の子どもには、早朝の手伝いをさせるのが有効です。その子自身には無関心なふうにしているのがよいのですが、その子がものごとに興味を持つようにさせる工夫が必要です。たとえば、いっしょに散歩しているとき、「ああ、きれいな花だなあ」と大人が気づくようにします(「見てごらん、きれいな花が咲いているよ」と注意を促す必要はありません)。いっしょに遊ぶとき、すこしテンポを早めていきます。
憂鬱質の子は、心身の暖かさを必要としています。大人が、みずからが苦悩にどう取り組んだか、その子に語ることができます。お話も、悲話を選びます。娯楽を軽蔑しますから、遊園地などに連れていくと、気分を害します。
同気質で対処するという方法もあります。胆汁質の子どもと競争して、大人が胆汁質的にがんばって、勝つようにします。多血質の子どもと一緒にいて、大人がその子以上に多血質的に振る舞ってみます。粘液質の子どもに対して、こちらがその子以上にゆっくりとしてみます。いずれも、からかうようにしてはいけません。
胆汁質の子どもには、穀物・生野菜のほか、甘いものを与えるとよいはずです。多血質の子どもには、砂糖や肉を控えめにします。東洋医学では問題視されますが、乳製品がお薦めです。粘液質の子どもには、雑穀・葉菜を与え、おかずは塩味にします。卵は控えめにします。粘液質は食べつづける傾向があるので、小食にするとよいです。憂鬱質の子どもには、蜂蜜や、花のハーブティー、果物、サラダ、そして甘いお菓子を与えるようにします。考え込む癖があるのですから、思考を促す根菜は控えめにします。キャベツも控えめです。
大人の気質の影響
胆汁質の大人は子どもを驚かせるような言動をしてしまうので、子どもは不安を感じ、虐げられていると感じます。親・教師が胆汁質すぎる場合、子どもは血液循環に障害をきたすことがあるそうです。リューマチになったり、消化器に症状が現われることもあるそうです。
多血質の大人は子どもから深い印象を受けず、子どもは生命の喜びを抑えられます。大人が多血質すぎる場合、子どもは活力がなくなることがあります。方向が定まらず、意志・忍耐力の弱い人間になる可能性があるといいます。
粘液質の大人は、子どもに無関心です。大人が粘液質すぎる場合、子どもは精神的な呼吸困難に陥り、神経質になりがちです。愚鈍になることもあるといわれます。
憂鬱質の大人は自分自身に関わっており、子どもとの関係を築こうとしないので、子どもの心が冷えます。大人が憂鬱質すぎる場合、子どもは感情が抑圧され、呼吸器や心臓を病むことがあるそうです。